2013年2月23日土曜日

「おおかみこどもの雨と雪」。

最近、細田守監督のアニメ映画、「おおかみこどもの雨と雪」のノベライズを読んだ。この本、映画の方を劇場で観る前に読む予定で買ったが、読む前に友達と観に行く約束の日が来てしまい、映画がつまらなかったのでそのまま積ん読になっていたのだが、最近ちょっと読む本がなかったので読んだのだ。

読後の感想だが、「映画より何倍も面白い」だった。

この映画のあらすじは、「“おおかみおとこ”と人間の女性の間に生まれた“おおかみこども”の姉弟の成長を描く」というもので、舞台がファンタジックなものではなく、現代日本なのでリアリティある映画に仕上げるのは不可能に近かった。そこを小説では細かなディテールや豊富なエピソードの積み重ねで作品にリアリティを与えることに成功している。

このノベライズは器用な職人作家の手によるものではなく、細田守監督本人の筆によるもので、ついでに氏の処女小説である。映画と小説、どちらが先に完成したかわからないが、小説なら、「いい映画ができるぞ」と思っていたと思う。だけど、小説と違い、映画は時間が限られている。充分にキャラクターを描く時間がなくて、そのキャラクターに感情移入して、行動にハラハラしたり、応援したくなる気持ちが湧いてこないというのはよくあることだ。そして残念なことに映画版「おおかみこどもの雨と雪」はいい物を持っていながら失敗作になった。

細田守監督がもっと実績を持っていて、もう少し長い上映時間が与えられていたらどういう結果になっていたかはわからない。

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