すごい小説を読んだ。タイトルは「もぐら」、作者は矢月秀作。中公文庫刊である。
あらすじは、警察がなかなか相手にしてくれない小さな事件や、人に言えないトラブルを解決するトラブルシューターを生業にする影野竜司(かげのりゅうじ)、通称、“もぐら”が、誘拐された妹を助けてくれという依頼を受けたところから、血で血を洗うやくざの抗争に巻き込まれていく・・・、というもので、別段ストーリー自体にはそれほど目新しさはない。
・・・と、いうか目新しさがないどころか、この小説、設定からキャラクター造形、筋運びに至るまでまるで1980年代からタイム・スリップしてきたような内容である。が、これに関してはネットで検索したら答えが出てきた。
この小説、元は1998年にノベルズとして刊行されたが人気が出なかったらしい。が、現在刊行すれば新鮮な作品として受け入れられるのではないかということで、携帯やインターネットなどの現代的小道具を書き足して改めて世に問うたそうだ。
この作品のどこが新鮮なのかというと、それは、バイオレンス描写だ。
とにかくこの作品の主人公、影野竜司はいたるところで暴力を振るう。そして、人間離れして強い。三人掛かりで喧嘩を売られても怯まずに余裕で勝ち、クライマックスでは得物を持った八人を相手に素手で勝つ。もはや化け物である。
何か馬鹿にしたようなことばかり書いたが、私はこの小説、結構気に入っている。「また喧嘩始めたよ」とニヤニヤしながら結構楽しんで読んだ。続刊がでているようだが、機会があったら読んでみたい。
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