2013年3月5日火曜日

高千穂節、唸る。

高千穂遥さんの小説、クラッシャージョウシリーズの新作、「水の迷宮」を読んだ。とにかく、読み始めたらイッキ読み。あっという間に読めた。サブキャラが立ちすぎて肝心の主人公らのチームの活躍が少なかったのは残念だが、独創的なアイディア、巧みな筋運び、迫力のアクションと相変わらず読ませる。

クラッシャージョウシリーズは1977年から朝日ソノラマから刊行されたスペースオペラ・シリーズで、聞くところによると、「日本初の小説でのスペースオペラ」だそうだが、SFマニアでない私には真偽のほどは分からない。

シリーズは一度は終了した(とはいっても明確な最終回の記述があったわけではない)が、2000~2003年に掛けて、既存の作品を内容はそのままで、当時の高千穂さんの筆力で全面改稿。その後シリーズが再開した。しかし、朝日ソノラマが倒産。もう終わりか、と思われた。

だが、シリーズはハヤカワ文庫から再刊した。「水の迷宮」の帯によると、別巻の再刊も決定したようで、これで出版社の引越しが全巻完了することになる。

スケールの大きい設定やSF的な面白さは、クラッシャージョウが飛び抜けて優れているわけではない。ならばこのシリーズの独創性はどこにあるのかといえば、アクションの迫力と徹底性にあると思う。

タイトルに「クラッシャー」とあるせいか、とにかくアクション・シーンが多く、そしてありとあらゆるものを壊しまくるのでスカっとする。

ただ、発表された時代が古いせいか、キャラクターの造形は若干古臭い(魅力がないわけではないので誤解なきように)。それでもまだ読まれているのは、ストーリーとアクションの迫力が時代を越えていたからだろう。

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